映画「I Love My Dad」は家族再生の物語ではない

飛行機の中で見た映画が衝撃的だったのに他人のレビューが読めない。消化しきれない感想をなぐり書きにする。

どうもアメリカで上映されたものの、日本では公開されていないらしい。日本語で読めるものは在米邦人の方の短い感想が1つヒットしただけだった。

アメリカの映画レビューサイトで感想を読む。英語がかなり苦手なので、自動翻訳も参考にしながら読むしかない。もしかしてアメリカって日本みたいな詳細な考察サイトとかない?検索の仕方が悪い?細かいニュアンスまでは掴めていないだろうなと思いつつ読み進めていくと、概ね好評っぽい。キャストや音楽を褒めているのが多かった。

原題「I Love My Dad」。英語音声、中国語字幕で観たけど、どっちもあんまりわからないうえに途中から音声ほぼ聞けていないし、飛行機の中だからアナウンスが入るたびに止まって断続的。それでも大まかな筋は楽しめた。

別居中の父親チャックは、息子フランクリンから連絡先をブロックされる。よくわからなかったけど、たぶん父親が悪い。

で、唯一の連絡手段を断たれた父親、catfish=なりすましで息子と接触を試みる。

ウェイトレスのSNSアカウントを探し出して、写真を保存して、その写真を使って新しいSNSアカウントを作って、息子のアカウントに友達申請する。まぁまぁ気持ち悪い。

チャットで仲良くなっていくんだけど、思春期の息子フランクリン、美人のお姉さんとネット上で仲良くなったのよっぽど嬉しかったんだろうな、どんどんこじらせていく。一度も会ったことないけど、もう頭の中は彼女のことでいっぱい。歩いていても、三者面談していても、彼女のことばかり考えてる。その心象風景をうまく映像に落とし込んでるから見ている側としてはなかなか奇妙な光景で、このあたりがコメディとして笑えるところなんだと思う。フランクリンの脳内では彼女といちゃつきながら歩いてるんだけど、通行人こら見たら一人でニヤニヤフラフラ浮かれまくってるやばい奴。

で、フランクリン、彼女とお付き合いを始めるの、ネット上で。ネット上で付き合うって聞かないわけではないけども、フランクリンが付き合ってるのは実在のウェイトレス、ベッカじゃなくて父親のなりすまし。二人のチャット、中国語字幕では「吻」って出てきたから、日本語だと「ちゅ〜〜♡」みたいなノリ?フランクリンの脳内ではベッカとキスしてるの。でも、実際には父親にメッセージ送ってるわけよ。フランクリンの妄想したベッカとのキスシーン、実際のチャット相手である父親とのキスシーン、交互に流れるのまじでシュール。

まぁ「ちゅー♡」って送るぐらいなら若気の至りかもね。そのうちチャット上でセックス始めるの。たぶんお互いやらしいこと聞いて、各々己で局部触って興奮してるつもりなんだろうけど、いかんせん相手は父親。同性。困ったのは父親チャックで、自分はおっちゃんだからどう返すべきかわからない。それで自分に気がある女にフランクリンのメッセージをコピペして送って、女から返ってきたメッセージをコピペしてフランクリンに送って…。なんなんだこれ。フランクリンは誰とネット上でセックスしてるんだ。

家族と性的な話とか全くしたくない派なんだけど、性的な話がんがんするタイプでも絶対この状況は発狂するでしょ。歪むわ。しかも別れ話されたらプールに沈んで自殺未遂起こすぐらいの入れ込みよう。

ラスト、フランクリンはチャックがなりすました美女、ベッカに会いに行く。でもベッカはなりすまされただけだから、フランクリンのことは全くわからない。接客中にヘラヘラ笑いながら「俺の女」ムーブを知らん男に噛まされるベッカ、ただただ被害者でかわいそう。フランクリンがベッカにきもいこと言ったり、焦ったチャックがベッカの同僚になんとか誤魔化してくれ!って言ったり、はちゃめちゃなシーンは笑いどころなのかもしれないけどシュール過ぎて笑えなかったわ。

ネタバレされたフランクリンの心情たるや。わからないのがラストシーンなんだ。あれ、どう解釈したらいいのかわからない。英語ができる人間、I Love My Dadを見て日本語で感想書いてくれ。原題ほんまキッツいな、なにがI Love My Dadだ家族愛の話かと思ったじゃねぇか、家族愛だけどそうじゃねぇ!ラストシーンをどう受け止めたらいいんだ。フランクリンのあの顔はなんなんた!!!